ノーベル賞6部門の一つで、物理学の分野で優れた業績があった人を顕彰する賞。2014年10月7日、選考元のスウェーデン王立科学アカデミーは、同年の賞を、名城大学の赤崎勇終身教授、名古屋大学の天野浩教授、アメリカのカリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授の3人に授与すると発表した。授賞理由は、「高輝度で省エネルギーの白色光源を可能にした効率的な青色発光ダイオード(青色LED)の開発」。LEDはエネルギーの変換効率が高く、白熱電球や蛍光灯に比べて少ない消費電力で明るく光らせることができ、寿命も長い。しかし、光の三原色のうち、赤と緑のLEDは1960年代に実現していたが、残る青色のLEDは実用に必要な明るさを出すことが難しく、20世紀中の開発は不可能とまで言われていた。赤崎教授と天野教授の2人は、89年に窒化ガリウムの結晶を用いて世界で初めて高輝度の青色LEDの開発に成功。その後、93年に日亜化学工業の研究員だった中村教授が、両教授の研究をふまえて青色LEDの量産化技術を開発し、実用化につなげた。これによって光の三原色がそろい、その組み合わせによってさまざまな色が出せるようになったことで、照明やディスプレーなどの用途で急速にLEDの普及が進んだ。授賞式は14年12月10日にストックホルムで開かれ、賞金の800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)は3人で等分する。