ノーベル賞6部門の一つで、化学の分野で優れた業績があった人を顕彰する賞。2014年10月8日、選考元のスウェーデン王立科学アカデミーは、同年の賞をアメリカのハワード・ヒューズ医学研究所のエリック・ベッチグ博士、ドイツのマックス・プランク生物物理化学研究所所長のシュテファン・ヘル博士、アメリカのスタンフォード大学教授のウィリアム・モーナー博士の3人に授与すると発表した。授賞理由は「超解像蛍光顕微鏡の開発」。ヘル博士は2000年、特定の波長を持つ2種類のレーザー光を対象物の分子に当てて一部の分子に蛍光を出させ、100万分の1ミリメートル単位で観察できる顕微鏡を開発した。ベッチグ博士とモーナー博士はそれぞれ、レーザー光を分子に当てて、一つ一つの分子の動きや性質を観察できる手法を開発。ベッチグ博士は06年にその技術を実用化し、細胞内の分子を観察することに成功した。こうした研究によって実現した、従来の光学顕微鏡をはるかに上回る高解像の顕微鏡は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの仕組みの解明に役立つことが期待されている。授賞式は14年12月10日にストックホルムで開かれ、賞金の800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)は3人で等分する。