中国、台湾から東南アジア各国、インドなどに広く分布する中型のスズメバチの一種。学名はVespa velutina。体長は最大で3センチ程度。体は全体に黒っぽく、腹部の先端のみ赤褐色であることから「ツマアカ」と名付けられた。ミツバチをはじめとする各種の昆虫を捕食する。攻撃的で、環境適応性が高く、繁殖力が強い。巣は初め茂みや土中に設け、その後、木の上に大きな巣を作る。年1回繁殖し、一つの巣から約500匹の女王バチが巣立ち、生息域は毎年20キロ以上広がっていくという。2003年ごろ、韓国に侵入して急速に分布を拡大し、在来種のスズメバチが激減。04年ごろ、フランス南部でも侵入と分布域の拡大が確認され、スペインなどヨーロッパ各国に広がっている。また、刺された人の死亡例も報告されている。日本では、12年ごろから対馬に侵入していたとされる。14年3月、九州大学大学院農学研究院の上野高敏准教授らの調査で、フランスや韓国と同種の中国南部原産の亜種が対馬北部に定着していることを確認。ニホンミツバチなど在来種への被害や、生態系への悪影響が懸念されている。