ドクガ科に属する大型のガ。アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北米などに広く分布し、日本でも北海道から沖縄まで全国各地に生息している。成虫のオスは羽の開帳40~60ミリで体色は灰色から茶色、メスは羽の開帳60~80ミリで体色は灰黄白色。オスの成虫が昼間に活発に飛び回ることから名前が付いた。卵塊(数百個の卵が密集した塊の状態)で越冬し、3~4月ごろにふ化して幼虫になり、6~9月ごろにさなぎから羽化する。成虫の寿命は6~10日ほどで、メスはこの間に1度だけ卵塊を産む。初期の幼虫は、吐いた糸にぶら下がり風に乗って移動することから、ブランコケムシとも呼ばれる。また、初期の幼虫の毛には毒があり、皮膚に触れるとかぶれを生じることがある。幼虫は、広葉樹や針葉樹、さまざまな植物の葉などを食い荒らす害虫として知られており、山林や果樹園に被害を与える。日本では、森林病害虫等防除法施行令で「森林病害虫」に指定されている。2001年には、国際自然保護連合(IUCN)が、アルゼンチンアリなどとともに「世界の外来侵入種ワースト100」に選定した。原因は不明だが、約10年周期で大量発生を繰り返しており、終息までには2~3年かかる。13~14年にかけて、秋田県、長野県、新潟県、岐阜県などで大量発生。幼虫による樹木や農作物への被害が生じたほか、街灯などに成虫の大群が集まって住民からの駆除要請が相次いだ。15年4月ごろから各地で大量の幼虫が確認されており、13、14年同様の大量発生が懸念されている。成虫に対する有効な駆除方法がなく、幼虫も体長10ミリを超えると殺虫剤が効きにくくなるため、卵塊や初期の幼虫の段階で対策を取る必要がある。