国産大型ロケットH-2Aの後継機として開発が予定されているロケットの仮称。2013年5月に、内閣府の宇宙政策委員会で開発が正式に決定された。14年度から開発をスタートし、20年ごろの初号機打ち上げを目指す。1996年に開発が始まったH-2A以来、18年ぶりの大型ロケット開発となる。H-2Aは、2001年の初号機打ち上げ以降、13年8月までに計22機を打ち上げ、成功率95.5%と高い安定性を誇る。その半面、1機あたりの打ち上げ費用が約85億~100億円と世界の平均より2~3割高いうえ、搭載する人工衛星の大型化にも対応できず、商用衛星などの受注競争では、海外の低コストなロケットの後塵を拝していた。こうした課題を克服するため、H-3では従来JAXA(宇宙航空研究開発機構)が担ってきた設計、開発を三菱重工業(本社・東京都港区)などの民間主導にすることでコストを低減し、打ち上げ費用を50億~65億円に抑えることを目指す。メーンエンジンにも、従来型よりも高推力ながらコストの低い新型液体水素エンジン、LE-Xが採用される予定。また、搭載する衛星などの重量に合わせて補助ロケットの本数を変更できるようにして、3~6トン級の衛星に幅広く対応できる柔軟性も持たせる。