工業製品や部品などの表面に自然に生じる紋様である「物体指紋」を認識して、製品の個体を識別する技術。2014年11月10日、日本電気(NEC)(本社・東京都港区)が世界で初めて、この技術を開発したと発表した。物体指紋は、金属やプラスチック、セラミックなど、表面に凹凸がある素材に生じるもので、同じ製品でも個体ごとに模様が異なる。また、人間の目では判別できないほど微細なこと、製造過程で自然発生する模様であることから、意図的に加工して似せることが難しい。同社の技術では、スマートフォンやタブレット端末のカメラに専用の部品をつけて撮影することで物体指紋を認識し、事前に登録した画像データと照合することで、誰でも瞬時に製品の個体を識別することができる。この技術が実用化されることによって、シリアルナンバーや特殊な識別タグがなくとも、製品が本物か偽物かの判定が可能になる。さらに、服やカバンにつけたファスナーやボタンの物体指紋データを登録しておけば、いつ、どの店でどの製品が販売されたかを把握することもできることから、製品保証の信頼性やトレーサビリティーが向上する。また、ネジのように小さな部品の物体指紋を登録して認証することによって、取り付け中の部品を外すことなく、部品の形や長さを確認することができ、保守・点検の作業の効率化、付け間違いによる事故の防止にも役立つ。同社では今後、製造業や流通業などさまざまな業種に対して、この技術の実用化を図っていくとしている。