イギリスのナノテクノロジー開発企業、サリー・ナノシステムズが開発した世界で最も黒い物質。2014年7月に同国南部のファーンボロー空港で開催された国際航空ショーで同社が展示した。炭素原子が筒状に集合した、直系2~3ナノメートルのカーボンナノチューブでできている。塗料などに用いられる一般的な黒色は光の95~98%程度を吸収するとされるが、ベンタブラックの吸収率は99.965%で、光を当ててもそのほとんどは反射されない。そのため、物体の表面をベンタブラックで覆うと、人の目からは形状や凹凸がほぼ判別できず、真っ黒な穴が開いているように見える。同社によると、イギリス国立物理学研究所やアメリカ国立標準技術研究所で試験された物の中では、これまでに最も黒い物質だという。天体望遠鏡など、不必要な光を抑えることで性能が向上する光学機器への利用などが期待されている。