運用を終了した人工衛星をすみやかに軌道から離脱させる装置。東北大学大学院工学研究科の桑原聡文助教が考案し、同大と産業機械メーカーの中島田鉄工所(本社・福岡県八女郡)が2010年に共同開発を始めた。打ち上げる人工衛星にあらかじめDOMを搭載しておき、運用終了後に地上から信号を送ると、DOMが衛星の周囲に厚さ0.01ミリほどの薄膜を瞬時に展開。軌道上にわずかに存在する大気の抵抗の力で人工衛星を減速させ、地球の引力を利用して高度を下げ、大気圏に突入させる。近年、世界的に超小型人工衛星の開発が盛んになり、軌道に投入される衛星数の増加が予想されているが、そのぶん、運用終了後の衛星がスペースデブリ(宇宙ごみ)となって他の衛星などと衝突する可能性が懸念されている。DOMは運用終了後の衛星をできるだけ短期間で処理し、スペースデブリ化を防ぐのが狙い。16年4~9月ごろには、DOMを搭載した超小型衛星「FREEDOM」を国際宇宙ステーション(ISS)から放出し、実際にDOMを作動させて軌道から離脱させる実験が予定されている。