四国電力が有する愛媛県西宇和郡伊方町にある原子力発電所。1977年9月に1号機(出力56.6万キロワット)が運転を開始し、82年3月には2号機(同)、94年12月には3号機(出力89万キロワット)が運転を開始した。原子炉の形式は、3基とも加圧水型軽水炉である。1号機は2016年5月に廃炉となり、2号機は定期検査のため12年1月から停止している。16年8月12日、3号機が11年4月の定期検査による停止以来約5年4カ月ぶりに再稼働。東京電力福島第1原子力発電所事故を踏まえて13年に導入された新規制基準の下で、5基目の再稼働となる。16年8月15日には、発電と送電を始めた。22日にフル稼働の状態になったことを受け、国の原子力規制委員会の最終的な検査後、9月7日には営業運転に入る。ただし、3号機については、松山、広島、大分の各地方裁判所で住民が運転停止の仮処分を申請しているため、司法判断によっては運転が止まる可能性がある。なお、愛媛県が定めた避難計画では、細長い佐田岬半島にある原発で重大な事故が起こった場合、原発の西側に住む約4700人の住民は、県内や大分県、広島県、四国各県に避難し、道路が寸断された場合は船で避難することを想定している。しかし、原発事故が起きるような大地震が発生すると、避難のための道路が寸断され、住民が孤立する恐れもあることから、避難計画に対しては不信と不安の声が出されている。