あらゆる抗生物質が効かない病原菌。アシネトバクター、緑膿菌、クレブシエラなどの細菌で見つかっている。病原菌に対しては抗生物質が用いられるが、耐性を獲得する菌が現れると、ほかの抗生物質を用いて対抗する。しかし、その抗生物質にも耐性を示して、いずれの薬も効かなくなるのがスーパー耐性菌である。一般的に、耐性菌が出現する原因としては、臨床現場における抗生物質の使い過ぎや、菌が死滅する前に薬の服用をやめてしまうといった不適切な使用がある。新薬の開発が追い付かないこともあって、問題が広がりつつある。免疫力が低下した人が感染すると、死に至ることもある。病院などの医療施設には免疫力が低下した患者が多いことから、院内感染が発生しやすくなる。オリンピックを控えたブラジルのリオデジャネイロでは、セーリングの競技場となる海岸などで、スーパー耐性菌の「カルバペネム耐性腸内細菌(CRE)」が検出された。世界保健機関(WHO)は2015年5月に薬剤耐性菌に対する行動計画の策定を加盟国に求めており、これを受けて日本政府では16年4月に初の薬剤耐性菌の行動計画を決定している。