2007年に死去した臨床心理学者で元文化庁長官の河合隼雄の業績をたたえて設立された、優れた文芸作品、学術書に贈られる二つの賞。12年5月に設立された一般財団法人河合隼雄財団(京都市北区)が、新潮社(本社・東京都新宿区)の協力のもと、主催する。物語賞は、人の心を支えるような優れた文芸作品に対して与えられ、児童文学も対象となる。作家の上橋菜穂子、小川洋子、宮部みゆきが選考委員を務める。一方の学芸賞は、優れた学術的成果をもとに、世界の深層を物語性豊かに明らかにした著作が対象。選考委員は心理学者の岩宮恵子、文化人類学者の中沢新一、霊長類学者の山極寿一、哲学者の鷲田清一の4人となる。両賞とも、選考時点の過去2年間に発表された作品が対象となり、結果は雑誌「考える人」(新潮社刊)の誌上で発表される。賞金は各100万円。13年5月に京都市で第1回の選考会が開催され、物語賞には作家の西加奈子が12年8月に出版した小説「ふくわらい」(朝日新聞出版刊)が、学芸賞には京都大学人文科学研究所の藤原辰史准教授が12年5月に出版した「ナチスのキッチン 『食べること』の環境史」(水声社刊)が選ばれた。