コンサートのチケットを買い占めて不当に高額な価格で転売したり、偽造チケットが送られてきたりする詐欺行為が発生している問題。1998年以降CDの売り上げは減少傾向にあるが、その一方でライブ市場は活性化している。しかし、それに伴って、悪質なチケット転売ビジネスが横行するようになり、正規チケットの買占めや価格の高騰、詐欺行為など、さまざまな問題が発生している。一部のアーティストやイベント運営者は、チケット転売を抑止するために、ファンクラブで購入したチケットのみを転売できる公式サイトを整えたり、入場時に正規のチケットの購入者かどうかを判別する顔認証システムを導入したりする、などの対応を行っているが、特に顔認証システムの導入には、システムの精度や導入コストのほか、来場者を長時間待たせることになるなど、問題も少なくない。こうした状況を受け、2016年8月22日、一般社団法人日本音楽制作連盟、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会の4団体が、チケット高額転売取引問題の防止を求める共同声明を発表。業界として問題に向き合い、態勢を整えていく必要性を示した。具体的には、(1)会員登録の厳格化(多重登録の防止など)、(2) 個人情報を除き、不正購入情報を共有する、(3)電子チケットの導入による本人確認の厳格化、(4)公式のチケット再販サービスの順次導入、といった対策を取るとしている。また、翌23日には読売新聞と朝日新聞の朝刊(関東・関西・中京圏)に全15段の意見広告を出稿。広告には、声明に賛同した国内アーティスト116組と国内音楽イベント24団体も名を連ねた。