組体操とは、2人以上が体を組み合わせてさまざまな形を作る体操のこと。組み立て体操とも呼ばれる。その代表的な体操が人間ピラミッドで、四つんばいになった人間が積み重なって、ピラミッドの形を作り上げる。小中高の運動会の花形演目の一つとして行われてきた。俵を積むように組む「平面型(俵型)」と、三角すい型に組む「立体型」とがある。通常、ピラミッドは3~5段であるが、近年は巨大化が進み、10段を超えるピラミッドに挑戦する学校も登場。巨大化に伴って子どもにかかる負担も大きくなり、骨折などにつながる事故が起きている。2015年9月27日には、大阪府八尾市の中学校で10段の人間ピラミッドが崩れて1人が骨折、5人が軽傷を負う事故が発生。同市教育委員会の調査で、同校では過去10年間で20人が骨折していたことが明らかとなった。日本スポーツ振興センターのデータによると、13年度に組体操で災害共済給付制度の医療費支給を受けた件数は小学校6349件、中学校1869件、高校343件の計8561件に及ぶ。こうした事態を受け、運動会での組体操、巨大人間ピラミッドなどの実施の是非が議論されている。学校における事故の実態調査・研究を行い、「教育という病」(15年、幻冬舎)の著書がある名古屋大学大学院の内田良准教授は、クラスのまとまりや感動よりもリスクに目を向けて、危険を冒してでも実施する必要があるのかどうかを考えるべきだと指摘している。10月17日には、同氏のほか医師、柔道関係者らを発起人として、子どものスポーツ事故撲滅を目指す青少年スポーツ安全推進協議会(澤田佳子会長)が設立された。