インターネット経由で登山届などを提出できる無料サービスの名称。正式名称は「山と自然ネットワーク コンパス」(http://www.mt-compass.com/)。公益社団法人日本山岳ガイド協会(本部・東京都新宿区)が、ウェブサイトの制作などを手がけるインフカム(本社・東京都渋谷区)と共同で開発し、2013年7月に運用を開始した。登山届は通常、登山ルートや非常時の連絡先など、遭難時の救助活動に必要となる情報を用紙に記入し、登山口のポストなどに入れるのが一般的。ただし、実際に提出する登山者の割合は少なく、警察庁によると13年の山岳遭難2172件のうち、登山届が提出されていたケースは2割以下だったという。コンパスでは、パソコンやスマートフォンから登録したうえで、画面上で地図を見ながら登山日程やルート、メンバー、緊急連絡先などを入力することで、登山届を作成、提出できる。また、提出した登山届を家族や知人などと共有することができ、下山予定時刻から一定時間を過ぎても登山者自身から下山連絡がない場合は、家族などに自動的に連絡を送信する。従来、各登山口などで管理していた登山届を一元的に管理することで、登山者の情報を素早く検索することができ、遭難時の迅速な救助活動につながることも期待されている。同協会では、山岳遭難事故が多い長野県や岐阜県の県警察などとシステム活用の協定を結ぶなどして普及を進めており、14年8月時点で約1万人が登録している。