フランス人建築家のル・コルビュジエが設計した建築物。ル・コルビュジエは1887年にスイスで生まれ、その後、フランス国籍を取得してパリを拠点に活動した建築家、画家。鉄やガラス、コンクリートを用いた合理的なデザインを追求し、1階を吹き抜けにするピロティや屋上庭園、横長の窓など「近代建築の5原則」を提唱した。また人体の大きさから部屋や家具の大きさを決めるモデュロールという手法も生んだ。こうした考え方は近代建築に大きな影響を与えており、20世紀を代表する建築家の一人とされる。代表的な建築物にポワッシーのサヴォア邸、マルセイユのユニテ・ダビタシオン、ロンシャンの礼拝堂などがある。フランスだけではなく、世界各地の建築物を手がけており、東京都台東区の上野公園にある国立西洋美術館本館もその一つ。日本、フランスなどは2008年、11年、15年の3回にわたり、ル・コルビュジエの建築群を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に推薦。16年5月にユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は7カ国17資産について登録が適当とする勧告を出し、同年7月の世界遺産委員会で登録されることがほぼ確実になった。登録されれば、異なる大陸にまたがる初の遺産となる。また、国立西洋美術館は東京都内で初めての世界文化遺産になる。