世界反ドーピング機関(World Anti-Doping Agency ; WADA ワダ)が、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)に対して行った、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックへのロシア選手団の全面的な出場禁止を検討すべきであるとの勧告。WADAは2016年7月18日、調査委員会の報告書を発表し、ロシアが14年のソチ・オリンピックにおいて国ぐるみのドーピング検査不正を行っていたと認定。勧告は、同報告を受けて行われた。またWADAは、国際大会からロシア政府関係者を排除すべきとも勧告した。ロシアのプーチン大統領は、同勧告に対して政治介入であると批判したが、アメリカ、カナダは勧告を支持。すでにロシアに対してリオデジャネイロ・オリンピックの参加資格停止処分を科している国際陸上競技連盟(国際陸連)も、WADAを支持する姿勢を明らかにした。IOCは同月19日に電話による緊急理事会を開いたが、決定を先送りした。スポーツ仲裁裁判所(CAS)が同月21日に国際陸連による資格停止処分を不満としたロシア選手の訴えを棄却し、出場資格がないとの裁定を下したことを受けて、IOCは24日に改めて電話による緊急理事会を開催。ロシア選手団を全面排除せず、厳しい条件を満たした選手は出場を認めることを決めた。出場の条件や個々の選手の出場の可否は各競技の国際団体に委ね、IOCとしての判断は避けた。