1年に1度、優れた業績を残した写真家に贈られる国際的な写真賞。2003年にイラン出身の写真家、ホセイン・ファルマンが設立したアメリカのルーシー財団が、同年から主催する賞で、写真界のアカデミー賞とも呼ばれる。スポーツや芸術、フォトジャーナリズム、ポートレートなどの部門がある。賞の名称は、ラテン語で「光」を意味する「lux」に由来し、写真において光が果たす役割を表している。過去にはフランス出身のアンリ・カルティエブレッソン(03年、ライフタイム・アチーブメント部門賞)や、ブラジル出身のセバスチャン・サルガド(04年、ヒューマニタリアン部門賞)などの著名な写真家が受賞している。日本人としては、06年に細江英光(ビジョナリー部門賞)が初めて受賞し、07年に井津建郎(ビジョナリー部門賞)、11年に荒木経惟(アチーブメント・イン・ファインアート部門賞)が受賞している。16年9月16日には、第14回の同賞が、日本初の女性報道写真家である笹本恒子に贈られることが明らかになった。同氏に贈られるのは、生涯にわたって写真界に貢献した個人を対象とするライフタイム・アチーブメント部門賞で、「厳しい時代を、自立心を持って生き抜いた女性を写し出した」と評価された。同氏は、1914年に東京都で生まれ、40年に25歳で女性報道写真家としての人生をスタート。以来、75年以上にわたってキャリアを重ね、第二次世界大戦中は日独伊三国同盟婦人祝賀会や国際会議などを多数、戦後は60年安保闘争、三井三池炭鉱の労働争議などを取材、撮影したことで知られる。