カジノを中心に、ホテルや飲食店、国際会議場、ショッピングセンター、レジャー施設などを備えた特定複合観光施設。1カ所にさまざまな施設を統合することで、海外からの観光客を呼び込む観光振興効果が期待できるうえ、新たな雇用の創出など、間接的な経済効果も大きいとされる。用語そのものは、2004年ごろからカジノ開発が検討され始めたシンガポールで使われるようになった言葉だが、それ以前にカジノ産業を中心に発展を遂げたラスベガスがその典型例といえる。アジアでも、1999年の中国への返還を機にIR開発が進められたマカオや、2010年に2カ所のIRをオープンしたシンガポールで、海外からの観光客の増加など、IRによる成果が上がっている。日本でも、第2次安倍政権が推進する成長戦略の一環として、カジノを含むIRの整備を進める動きが活発化。13年12月には、自由民主党、日本維新の会、生活の党の3党の国会議員がIRを推進する特定複合観光施設区域整備推進法案(IR推進法案)を提出。国内では、横浜市や大阪市、北海道、沖縄県などが、開発による経済振興を目的として施設の誘致に興味を示している。その一方で、カジノを含む施設の開発に関しては、ギャンブル依存症の増加や、青少年への悪影響、組織犯罪の関与などを危惧する声もある。