アメリカ運輸保安局(TSA)の認定を受けた旅行鞄用の施錠器具。南京錠型のものや旅行鞄と一体型のものなどさまざまな種類があるが、マスターキーがあれば解錠できる。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロをきっかけに同国では空港の荷物検査が厳格化され、TSA職員が鞄を開けて中身を検査することがある。そのため、03年以降、同国内の空港で航空会社に預ける荷物は原則施錠しないよう指導されており、施錠した場合には鍵やスーツケースが壊されても補償されない。しかし、TSAロックであれば係員がマスターキーで解錠できるので、施錠したままの運搬や預け入れができる。アメリカへの渡航などではTSAロックを備えた旅行鞄の使用が推奨されており、05年ごろから日本メーカーの製品でもTSAロック対応の商品が出始めた。15年8月、アメリカの新聞がTSAロックのマスターキーの写真を掲載、画像から鍵の形状が割り出される事態が発生した。その後、マスターキーを作成できる3Dプリンターのデータがインターネット上で公開され、実際に解錠できてしまうことが確認されるなど、セキュリティー上の問題となっている。