2020年の東京オリンピックと東京パラリンピックで主会場となる新国立競技場の整備計画をめぐる問題。同競技場は、東京都新宿区の国立霞ヶ丘陸上競技場(旧国立競技場)を全面的に建て替えて建設されることが12年2月に発表され、同年、日本スポーツ振興センター(JSC)がデザインの国際コンクールを実施。46件の応募の中からイラク出身の建築家ザハ・ハディドの案が採用された。建設費は当初1300億円と想定されていたが、13年9月に最大約3000億円に達することがわかり、その後、計画の規模を縮小。JSCは15年6月に総工費2520億円とする計画を決定したが、当初の倍近くに膨らんだ建設費に国民の批判が高まり、同年7月に安倍晋三首相が計画を白紙に戻して見直すことを決めた。その後、政府は総工費の上限を1550億円とする新整備計画をまとめ、同年9月にJSCが設計と施工を一貫して行う公募型プロポーザル方式で公募。2案の応募があり、JSCは同年12月にA案、B案としてそれぞれの計画概要や外観イメージを公表した。A案は建築家の隈研吾と大成建設(本店・東京都新宿区)、梓設計(本社・東京都品川区)のチームによるもの。B案は建築家の伊東豊雄と竹中工務店(本社・大阪市)、清水建設(本社・東京都中央区)、大林組(本社・東京都港区)の3社による共同企業体と、日本設計(本社・東京都新宿区)のチームによるもの。両案とも19年11月を完成予定とする。15年12月、JSCの技術審査委員会による採点が行われ、工期短縮の点で高い評価を得たA案が採用されて、関係閣僚会議で了承された。