国民の心の健康の保持増進に役立つ心理専門職として、厚生労働省と文部科学省が新たに創設した国家資格。心理専門職には、臨床心理士、認定心理士などの資格があり、2014年の調査では全国約4万人が従事してるが、いずれも民間資格であり、知識や技量に差があることが以前から指摘されていた。このため、一定の質を有する心理専門職を養成することを目的として、15年9月9日に公認心理師法が国会で成立した(同月16日公布、17年9月15日までに施行予定)。同法では、公認心理師とは、心理学に関する専門的な知識や技術をもって、以下の行為を行うことを業とする者と定めている。(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析、(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助、(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助、(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供。受験資格は、大学及び大学院で必要な科目を履修し修了した者、または、大学で必要な科目を履修した者またはそれに準ずる者で一定期間の実務に従事した者、など。ただし、新設された資格であるため、法律の施行から5年間は経過措置が取られ、施行日前に大学院に入学し、施行日以後に公認心理師となるために必要な科目を修めて課程を修了した者、なども受験できる。厚労省と文科省は、18年までに第1回の国家試験を行う予定だと表明している。