江戸時代を代表する浮世絵師で世界的な評価も高い葛飾北斎の作品を展示する美術館。2016年11月22日、北斎が生まれた東京都墨田区亀沢にある緑町公園内にオープンする。1989年に墨田区基本計画で建設が計画され、94年に基本計画案が策定されたものの、バブル経済の崩壊などの影響から計画は一時凍結。その後、2006年に東京スカイツリーの建設が決まったのに伴って、同年の同区基本計画に建設が織り込まれ、14年8月に着工。16年4月に工事が完了した。地上4階、地下1階で延床面積は3326.8平方メートル。建物の外観には、鏡面のアルミパネルを使用。四角柱と三角錐を組み合わせたような斬新なデザインで、角度によって見え方が変わる。常設展では、北斎の生涯に沿って人物像や「すみだ」との関わりを紹介しつつ作品を展示。最新の調査研究に基づき、さまざまなテーマや切り口による企画展も開催する。収蔵作品としては、日本の浮世絵研究の第一人者といわれる故楢崎宗重博士の北斎作品7点を含む浮世絵版画、日本および中国の古美術、近代絵画等480点、また世界有数の北斎作品コレクターで研究者としても知られる故ピーター・モースのコレクション(北斎版画等544点、北斎研究の蔵書約3000点)などのほか、北斎とその門人の版本・版画、肉筆画等約650点などがある。北斎の顕彰を通じて地域への愛着を深める場とするほか、地域活性化の拠点や国内外の交流の場としても期待されている。