比叡山(京都市、滋賀県大津市)の山中などで行われる天台宗の修行の一つ。9世紀の僧、相応(そうおう)が創始したと伝えられ、天台宗の修行の中でも随一の荒行として知られる。これは比叡山の峰々を徒歩で巡って礼拝する修行で、7年間で計1000日行わなければならない。3年目までは1日約30キロメートルの行程を毎年100日巡り、4~5年目は同じ行程を年200日巡る。ここまでの700日を終えると、千日回峰行の中でも最難関とされる堂入り(明王堂参籠)に入る。堂入りでは無動寺谷の明王堂に9日間こもり、食事や水を断って不眠で不動真言を唱え続ける。9日間の堂入りを達成した僧は当行満阿闍梨(とうぎょうまんあじゃり)と称され、不動明王の化身として信仰の対象になる。6年目には、それまでの行程に京都市の赤山禅院への往復が加わった約60キロメートルの行程に変わり、これを年100日巡る。7年目の前半は、京都市内を含む「京都大廻り」と呼ばれる約84キロメートルの行程を100日巡り、後半で比叡山中約30キロメートルを100日巡って全ての行を終える。全ての行程を合わせた距離は、地球1周分に相当する約4万キロメートルにもなり、達成すると大行満大阿闍梨と呼ばれる。2015年10月21日、延暦寺善住院住職の釜堀浩元(かまほりこうげん)師、41歳が堂入りを終えて、戦後13人目の達成者となった。