百貨店大手の三越伊勢丹(本社・東京都新宿区)が展開する三越の本店。東京都中央区日本橋に建つ。1914年に建てられた同店本館が関東大震災による火災で被害を受けたため、その鉄骨などを利用して新しく建設され、27年に完成した。地上7階地下1階の鉄骨鉄筋コンクリート製で設計は横河工務所(現横河建築設計事務所)。35年の増築時に5層吹き抜けの中央大ホールなどが設置された。外観は西洋古典様式を基調としつつ、水平、垂直線の強調などの新しい様式も取り入れており、内部の中央ホールや特別食堂はアールデコ風の意匠で飾られている。各時代の様式を取り入れた優れた意匠や、集客のために重ねられた増改築が「我が国における百貨店建築の発展を象徴するもの」と評価され、2016年5月20日に国の文化審議会が重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申した。百貨店建築として重要文化財指定を受けるのは、日本橋高島屋(東京都中央区)に次いで2件目。