理容師法は、第1条の2第1項で、理容とは「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」とし、第6条で理容師免許を受けた人でなければ理容の業務を行ってはいけないと定めている。一方、美容師法は、第2条第1項で、美容とは「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とし、第6条で美容師でなければ美容の業務を行ってはいけないと定めている。このため、理容師が美容の業務を行ったり、美容師が理容の業務を行ったりするのは違法行為となる。また、理容師免許と美容師免許は別々の資格であり、理容師と美容師が同じ場所で働くことはできないとされてきた。さらに、1978年に厚生省(現厚生労働省)が出した「理容師法及び美容師法の運用について」という通知では、理容師は理容の一環として男性に行う以外のパーマをしてはならず、逆に美容師はパーマなどの美容行為の一環でなければ男性のカットをしてはいけないとされた。しかし、実際には美容室で髪をカットしている男性は多いなど、同通知は有名無実化していた。2015年6月16日に政府の規制改革会議が安倍晋三首相に提出した第三次答申では、同通知が現状にそぐわないことから、性別による職務範囲の規制の撤廃などを提言。これを受けて同通知の見直しが閣議決定され、今後は美容師が男性のカットを行ったり、理容師が女性のパーマを行ったりすることが認められる。このほか、2016年にも、すべての従業員が両方の資格を持つ場合に限り、両者が一緒に働く店舗の開業も可能になった。