主にイヌ科やイタチ科の動物がかかるウイルス性の感染症。ジステンパーウイルスに感染した犬の唾液(だえき)や鼻水、尿などとの接触や、ウイルスが付着した食べ物の摂取などで感染する。感染すると、1週間程度の潜伏期間を経て、発熱や食欲不振など、風邪に似た症状が出る。その後、一度は症状が治まるが、その際に完治しないと再び発症し、発熱や鼻水、せき、下痢、おう吐、結膜炎などの症状が現れる。鼻水や目やには、うみのような粘液状になることが多い。さらに進行すると、ウイルスが脳神経を冒して、けいれんや異常な興奮、下肢のまひなどの症状が現れる。特に1歳未満の子犬がかかりやすく、死亡率は50%以上と非常に高い。ジステンパーウイルスに対して有効な治療薬はなく、発病後は抗生剤によって二次感染を抑える治療が中心になる。予防にはワクチンが有効。犬の感染症として知られるが、イタチやアライグマ、トラなどの野生動物にも感染する。2014年12月には、中国陝西省にある野生動物研究施設で飼育されていたジャイアントパンダ4頭で感染が確認され、翌1月4日までにうち2頭が死亡したと報じられた。