国立国会図書館に納められた民間の出版物に対して支払われる対価のこと。国会図書館納入出版物代償交付金ともいう。1948年2月に制定された国立国会図書館法では、国内で頒布を目的として企業や個人が相当部数作成した図書、雑誌、新聞、楽譜、地図などの全ての出版物は、国民共有の文化的資産として残すため、原則1部を発行から30日以内に同館に納本することが義務付けられている。2000年からはCD-ROMやDVDなども納入の対象となった。納本制度の導入当初は、用紙不足などから発行者に重い負担がかかり、納入状況がよくなかったため、制定の翌1949年6月に同法が改正され、代償金の交付規定が新設された。金額は納本した出版物の出版と納入に通常要すべき金額とされ、通常は小売価格の5割に送料を加えた額が支払われる。2014年度には、約15万点に対して約3億9000万円の代償金が支払われた。他国でも同様の納本制度が設けられているが、アメリカやイギリスなどは無償での納入を義務付けており、日本のような有償の納本制度は珍しいといわれる。15年10月、頒布の実態が疑わしい高額の図書が、東京都内の出版社から同館に多数納本されて代償金が交付されていたことが明らかになり、同館では支払いが適正であったか調査を開始した。