白紙撤回された旧エンブレムに代わって選定された2020年東京オリンピック・パラリンピックの新たなエンブレム。15年7月24日、デザイナーの佐野研二郎によるエンブレム案が選ばれたものの、その後、ベルギーの劇場ロゴなどに類似しているとの指摘があり、9月1日に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が白紙撤回を決定。新たにエンブレムを公募するとして、10月16日に応募要項を公表した。応募資格は、デザインの経験や受賞歴の有無などは問わず、15年4月1日時点で18歳以上の人を代表者とするグループに属していれば、子どもでも参加できるようにするなど、広く門戸を開放した。12月7日の受け付け締め切りまでに寄せられた応募総数は1万4599件。その後、応募作品の形式要件やデザインのチェック、エンブレム委員会での審査、国内外の商標調査を経て、16年4月8日に最終候補4作品を公表。公表から同月17日までに国民から寄せられた4万件超の意見も参考にしたうえで、エンブレム委員会による最終審査が行われ、同月25日、アーティストの野老(ところ)朝雄がデザインした「組市松紋(くみいちまつもん)」を選んだことが発表された。形が異なる3種類の藍色の四角形を組み合わせ、江戸時代に広まった市松模様を表現したもので、多様性と調和のメッセージを込めているという。