戦争や災害などが起きた場所を訪ねて、人類の負の歴史について理解を深める観光のこと。1990年代にイギリスの社会学者、ジョン・レノンとマルコム・フォーリーが提唱した考え方で、古戦場、災害被災跡地、事故現場、虐殺が行われた場所などが観光の対象となる。過去に起きた悲劇について学び、悲しみや悼みの念を共有するために行う。こうした形態の観光地として代表的なのは、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡やウクライナのチェルノブイリ原子力発電所などで、世界からの観光ツアーが集まる場所も少なくない。日本国内では、広島県広島市の原爆ドームや沖縄県糸満市のひめゆりの塔などへの観光がこれにあたる。2012年秋には、批評家の東浩紀を中心としたグループが、11年3月に事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所周辺の地域を将来的に観光地化する福島第一原発観光地化計画を提唱して話題を呼んだ。