シベリア抑留資料は、第2次世界大戦後に旧ソ連領に抑留された軍人らの抑留生活や引き揚げに関する資料。正式名称は「舞鶴への生還 1945~1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録」。京都府の舞鶴港に帰還した抑留者の手記や手紙、絵画など570点からなり、舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)が所蔵している。抑留生活における心情などを白樺(しらかば)の樹皮につづった「白樺日誌」や、戦後のヒット曲「岸壁の母」のモデルとなった故端野いせさんの手紙なども含む。東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)は、京都市の東寺(教王護国寺)で伝えられてきた8~18世紀の古文書、約2万5000通。寺院活動に関するもののほか、東寺が全国に領有していた荘園に関する文書も多数含まれ、古代から中世の寺院制度や社会構造を研究するうえで貴重な資料とされる。1685年に加賀藩第5代藩主の前田綱紀が寄進した百合(100箱)の文書箱で保管されてきたことからこう呼ばれる。1997年に国宝に指定された。2015年10月、両資料について国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、歴史的に貴重な文書などの保存を目的とする世界記憶遺産への登録を決定。日本からの登録としては4、5件目となった。世界記憶遺産をめぐっては、日本からの2件と同時に、中国が申請していた南京大虐殺(南京事件)に関する資料も登録されたことが注目を集めた。遺跡や自然を対象とする世界遺産は登録までの過程で関係各国政府が意見を表明できるのに対して、世界記憶遺産は登録の審議がユネスコ内部で行われ内容は非公表。南京大虐殺は歴史的評価や事実認定が固まっていないままの登録となった。