毎年1月に、天皇が皇后とともに人文科学、社会科学、自然科学の各分野の第一人者から講義を受ける儀式。宮中の新年行事の一つで、1869年に明治天皇が学問奨励のために定めた「御講釈始(ごこうしゃくはじめ)」が始まり。当時は国書、漢書についての講義だったが、その後、洋書も加わり、1953年から現在のような三つの分野の講義となった。進講する研究者は毎年、文部科学省が各分野から計3人を推薦し、1人15分で講義を行う。受講は天皇、皇后だけではなく、皇太子をはじめとする皇族や、文部科学大臣、日本学士院会員、日本芸術院会員らが参加する。2014年1月10日に皇居・松の間で行われた講義では、樺山紘一・印刷博物館長が「歴史としての印刷文化」、菅野和夫・東京大学名誉教授が「日本的雇用システムと労働法制」、08年にノーベル物理学賞を受賞した小林誠・高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授が「粒子と反粒子―対称性の破れをめぐって」について進講した。小林のほかに、これまで進講したノーベル賞受賞者には、物理学賞の江崎玲於奈、化学賞の野依良治などがいる。