香りによって忘れていた過去の記憶がよみがえる現象。プルースト効果とも呼ばれる。フランスの小説家、マルセル・プルーストが長編小説「失われた時を求めて」で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌを口にした途端、その香りから、懐かしい子どもの頃の記憶を思い出す場面を描いたことから、作者の名前が同様の現象の語源となった。2013年11月8日、徳島で開かれた日本ストレス学会学術総会で、プルースト現象を起こす香りの実験結果が発表され、話題になった。実験は、花王感性科学研究所(東京)、愛知医科大学などの研究グループが行ったもので、20~35歳の男女10人に、プルースト現象につながる香りの香水とそうではない香水をかいでもらい、PET(陽電子放射断層撮影)により脳の状態を比較したもの。実験結果から、プルースト現象を起こす香りは、快感などを判断する脳内報酬系と呼ばれる前頭眼窩野(ぜんとうがんかや)や自己記憶に関わる後部帯状回(こうぶたいじょうかい)を活性化させ、体内の免疫力を向上させることが確認された。