報酬を得て外国人に付き添い、外国語で旅行案内などを行う人。または、そのための資格。通訳ガイドとも呼ばれる。1949年に施行された通訳案内業法(現・通訳案内士法)で国家資格として設けられた。外国人に対して有料で旅行案内などを行う者は、観光庁長官の行う通訳案内士試験に合格し、都道府県知事の登録を受けなければならない。2014年4月時点での登録者数は1万7736人。無資格の者が有料でガイドをすることは禁じられており、違反者は50万円以下の罰金となる。試験は独立行政法人国際観光振興機構(日本政府観光局、JNTO)が事務を代行して年1回実施しており、年齢、性別、学歴、国籍などに関係なく受験が可能。試験では、外国語、日本の地理と歴史、一般常識に関する筆記試験と、実務に関する口述試験が行われる。外国語は英語、フランス語、中国語など10カ国語の中から1種類を選択する。06年には都道府県が試験を実施し、その区域内のみで業務を行える地域限定通訳案内士制度が創設された。また、12年からは全国9地域の特区で、自治体による研修を受ければその地域に限って通訳案内ができる制度も導入された。通訳案内士試験については、試験内容が業務を反映していない、言語が欧米系に偏っている、などの批判があり、観光庁は14年に通訳案内士制度の検討会を立ち上げた。20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて訪日外国人が増加することも念頭に、15年度以降、試験の開催頻度や内容の見直しなどが検討されている。