仏教の僧になるための儀式。得度とは本来、迷いの世界から悟りの世界へ渡ることを意味し、転じて在俗者が仏門に入ることを意味するようになった。現在では、出家することを指すことが多いが、得度式を行った時点では俗世を離れず、僧としての第一歩を踏み出した段階とみなされることもある。日本の古代、律令制時代(7世紀後半~10世紀ごろ)では得度には国の許可を必要とし、勝手に得度した場合は自度(じど)、私度(しど)と呼ばれた。この制度は律令制の崩壊とともに形骸化したが、仏教各宗派の本山や寺では中世以降も形式的に儀式が行われている。儀式の内容は宗派によって微妙に異なるが、剃髪して衣や袈裟(けさ)、戒律などを授かることが一般的。2016年6月には、歌舞伎俳優の市川海老蔵が成田山新勝寺(千葉県成田市)で得度式を行ったことを公表し、話題を呼んだ。