ノーベル賞6部門の一つで、文学の分野で優れた業績があった人を顕彰する賞。2015年10月8日、選考元のスウェーデン・アカデミーは、同年の賞をベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシエービッチに授与すると発表した。授賞理由は「現代の苦悩と勇気の記念碑といえる、多様な声からなる作品に対して」とされた。アレクシエービッチは1948年5月31日、旧ソ連のウクライナ生まれ。のちに父の故郷であるベラルーシに移住して大学でジャーナリズムを専攻した。卒業後は新聞社勤務などを経てフリージャーナリストとして活動。民衆の声を集めて作品に仕上げる手法で執筆するようになり、85年に作家デビュー作となる「戦争は女の顔をしていない」(邦訳は2008年群像社)を発表した。同作は第2次世界大戦に従軍したソ連の女性兵士数百人に取材した作品でベストセラーとなり、舞台化、映画化もされた。その後、第2次世界大戦中を幼少期に経験した人の声を集めた「ボタン穴から見た戦争」(85年、邦訳は2000年群像社)、旧ソ連のアフガニスタン侵攻に参加した兵士や家族の証言集「アフガン帰還兵の証言」(89年、邦訳は1995年日本経済新聞社)などを発表。97年にはチェルノブイリ原子力発電所事故をめぐる住民の意識や感情の変化をテーマとした「チェルノブイリの祈り」(岩波現代文庫)を発表し、世界的に高く評価された。授賞式は2015年12月10日にストックホルムで開かれ、賞金の800万スウェーデン・クローナ(約1億1200万円)が贈られる。