日本古来の製法によって作られる紙。原料として、主に楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)の茎の周辺から取れる靱皮(じんぴ)繊維が用いられる。これにトロロアオイやアオギリなどの植物の根から抽出した粘液を混ぜて原料となる紙料液をつくり、すのこに汲み上げて前後にゆする工程を何度か繰り返す、流し漉(す)きという手法で製造されるものが多い。麻や桑、竹などを原料として用いることもある。和紙という名称は、明治初期に、外国から輸入された機械漉きの洋紙と区別するために付けられた。和紙は繊維が長く丈夫であり、長期保存に適していることから用途が広く、障子紙や傘など、さまざまな生活用品に加工され、利用されてきた。産地や製造方法によって異なった特徴を有し、伝統が長く受け継がれてきている。2014年11月26日、「和紙 日本の手漉和紙技術」が、ユネスコの無形文化遺産に正式登録されることとなった。対象となるのは、「石州半紙」(島根県浜田市)、「本美濃紙」(岐阜県美濃市)、「細川紙」(埼玉県比企郡小川町)の3件。石州半紙は09年に登録されているが、11年に本美濃紙の単独登録が保留になったため、日本政府は13年、細川紙を加えた3件をまとめて手漉和紙技術として再登録することを提案していた。