アオキ・マサヒコ。経済学者。
1938年4月1日、愛知県生まれ。60年安保闘争で学生運動の中心となった共産主義者同盟(ブント)創立メンバーの1人で、「姫岡玲治」のペンネームで書いた論文などが学生運動側に大きな影響を与えた。その後、マルクス経済学から近代経済学に転向。62年に東京大学経済学部を卒業し、同大大学院を経て、67年にアメリカのミネソタ大学で経済学博士号を取得した。スタンフォード大学、ハーバード大学、京都大学で助教授を務め、77年に京都大学教授。84年にスタンフォード大学教授となる。理論経済学を専攻し、制度論、コーポレート・ガバナンスなどの分野を研究。特に、国や地域で異なる経済システムの多様性を、文化や慣習を含めた視点から分析する比較制度分析の開拓者として知られる。その業績は世界的に高く評価され、ノーベル経済学賞に最も近い日本人研究者ともいわれた。97年から2003年まで経済産業研究所所長(01年までは通商産業研究所)を務めたほか、08~11年には国際経済学連合(IEA)の会長も務めた。著書に「組織と計画の経済理論」(1971年、岩波書店)、「比較制度分析に向けて」(2001年、NTT出版)などがある。15年7月15日、肺疾患のためアメリカのカリフォルニア州で死去。77歳。