プーミポン・アドゥンヤデート。タイ国王。
1927年12月5日、アメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。34年スイスに留学し、45年ローザンヌ大学に入学する。46年6月9日、兄のアナンタ・マヒドン国王(ラーマ8世)の急死により、18歳でチャクリー王朝9代目の国王として即位。50年4月にシリキット王妃と成婚。同年5月、戴冠式。国内を積極的に視察し、50年代初めから「王室プロジェクト」を実施して農業や漁業、酪農などの振興を指揮し、地方の発展、国民の生活向上に努めてきた。73年10月、学生らによる民主化運動の際には混乱収拾に乗り出し、当時のタノム軍事独裁政権を追放。87年、大王の尊称を奉呈される。92年、反政府運動グループと国軍が衝突し、多数の死傷者を出した「5月流血事件」では、首相と民主化運動の指導者の双方を呼び出して和解を促すなど、国家の安定に大きく寄与。長年にわたって、国家安定の要として国民から深い敬愛を得てきた。2016年6月9日には、存命する君主としては世界最長の在位70年を迎えた。日本の皇室とも関係が深く、1963年に国賓として来日した際は昭和天皇、香淳皇后両陛下と面会。2006年の国王即位60周年記念式典には今上天皇、皇后両陛下が出席した。近年は健康状態が悪化して入退院を繰り返し、公の場にはほとんど姿を見せていなかった。16年10月13日死去。88歳。