サカイダ・カキエモン。陶芸家。
佐賀県西松浦郡有田町の伝統工芸である有田焼の窯元の一つ、柿右衛門窯の当主が代々、襲名する名前。江戸時代初期に同地で陶業を営み、日本で初めて色絵磁器の技法を完成させたといわれる初代柿右衛門(酒井田喜三右衛門)を祖とする。濁手(にごしで)と呼ばれる柔らかい乳白色の素地に、色鮮やかな文様や花鳥図を上絵付した赤絵という技法を用いるのが特徴で、その作品は柿右衛門様式と呼ばれる。17世紀半ばごろからはヨーロッパにも輸出されて、ドイツのマイセンなど、各地の陶磁器に影響を与えた。濁手の技法は、原材料の入手が困難なことや、高度な技術が要求されることから、江戸時代中期に一度途絶えるが、1953年に12代、13代親子が過去の文献などをもとにして素地の復元に成功。71年には、その製陶技術が重要無形文化財の総合指定を受けた。82年に当主名を襲名した14代柿右衛門は、伝統の技法に現代的なアレンジを加えた作品を数多く創作して国内外で高く評価され、2001年に人間国宝に認定された。14代は13年6月15日、転移性肝腫瘍のため死去。78歳。