オオニシ・キョジン。小説家。評論家。
1916年8月20日、福岡県生まれ。本名、大西巨人(のりと)。毎日新聞西部本社勤務を経て、42年に応召して対馬要塞重砲兵連隊に入隊。第二次世界大戦後は、日本共産党に入党。46年に福岡で創刊した総合雑誌「文化展望」の編集に従事し、翌年、「近代文学」同人となる。49年に処女作となる長編小説、「精神の氷点」を発表。52年に上京、戦前のプロレタリア文学の流れをくむ新日本文学会の常任中央委員に就く。同年、評論「俗情との結託」で野間宏の小説「真空地帯」を大衆追随主義と批判し、野間や後の共産党議長宮本顕治らとの論争に発展。その後、共産党と絶縁状態となり、72年に新日本文学会を退会。この間、55年から代表作となる、旧日本軍を題材とした長編小説「神聖喜劇」を発表。同作は、約25年をかけて書き継ぎ、80年に完成。後に同作を原作に、のぞゑのぶひさと岩田和博が漫画化し、2007年に第11回手塚治虫文化賞新生賞、日本漫画家協会賞大賞を受賞した。主な小説作品に、「天路の奈落」「三位一体の神話」「迷宮」、評論集に「戦争と性と革命」などがある。14年3月12日、肺炎のため死去。97歳。