ギュンター・グラス。作家。
1927年10月16日、ダンチヒ(現ポーランド・グダニスク)生まれ。父はドイツ人で、母はスラブ系少数民族のカシューブ人。第二次世界大戦中の44年にドイツ軍に召集され、翌年アメリカ軍の捕虜となる。46年の釈放後は、農業や石工などの仕事をしながら美術を学び、詩や小説も書き始める。50年代半ばから、西ドイツの文学運動「47年グループ」で活動した。56年、パリに移住。59年に初の長編小説「ブリキの太鼓」を発表し、高く評価される。故郷ダンチヒを舞台に、3歳で成長が止まった少年の目を通してナチス台頭期から敗戦後のドイツを風刺的に描いた同作は、61年の「猫と鼠(ねずみ)」、63年の「犬の年」とともに「ダンチヒ3部作」と呼ばれる。60年以降は西ベルリンに住み、創作活動のかたわら、政治活動にも積極的に参加。社会民主党を支持し、82年に同党に入党した。90年の東西ドイツ統一に際しては、統一反対を主張。99年には、ノーベル文学賞を受賞した。2006年、自伝的作品「玉ねぎの皮をむきながら」で17歳のときにナチスの武装親衛隊(SS)に所属していた過去を告白し、物議をかもした。15年4月13日、死去。87歳。