オヤマダ・ヒロコ。小説家。
1983年、広島県生まれ。幼い頃から作家に憧れ、中学、高校と文芸部に所属した。大学卒業後は5年のうちに、編集プロダクションの雑誌編集者、眼鏡屋の販売員、自動車工場での勤務と転職を繰り返した。小説家になる夢は一時、諦めていたが、結婚後夫の勧めで執筆を再開した。2010年、何を作っているのかわからない不可思議な工場を舞台に、働くことの不条理などを描いた「工場」で第42回新潮新人賞を受賞。13年に同作が収録された初の単行本「工場」(新潮社刊)が刊行され、同書は第30回織田作之助賞も受賞した。その後、「うらぎゅう」、「いたちなく」などを発表。日常の身近な体験の中で出合う違和感を、非日常世界に仕立てる独特の作風で注目される。14年1月16日、夫の実家の隣に引っ越した女性が、河原の穴に落ちたのをきっかけに、奇妙な出来事に出合う幻想的な小説「穴」(「新潮」13年9月号)で第150回芥川賞を受賞した。