タカハシ・オサム。作家。
1929年5月23日、千葉県生まれ。53年、東京大学文学部卒業後に映画会社の松竹に入社。小津安二郎監督の「東京物語」の助監督を務め、60年には「彼女だけが知っている」で監督デビュー。65年に松竹を退社後、舞台演出や戯曲の執筆を手がけ、同年「白鳥事件」の作・演出で第20回芸術祭賞奨励賞(演劇部門)、70年に「告発-水俣病事件」で小野宮吉戯曲平和賞を受賞。その後、本格的な作家活動に入る。年老いた2人の釣り師が巨魚に挑む姿を描いた「秘伝」(「小説現代」83年11月号)で、84年第90回直木賞を受賞。88年に「名もなき道を」(講談社)、「別れてのちの恋歌」(新潮社)で第1回柴田錬三郎賞、96年には「星の衣」(95年、講談社)で第30回吉川英治文学賞を受賞した。その他の主な作品に、小津監督の作品と人生を描いた「絢爛(けんらん)たる影絵-小津安二郎」(82年、文藝春秋)、富山市の伝統行事「おわら風の盆」を題材に大人の恋愛を描いたベストセラー「風の盆恋歌」(85年、新潮社)などがある。88年、石川県白峰村(現白山市)に「白山麓僻村塾(はくさんろくへきそんじゅく)」を開設。環境保護を訴えるとともに、消えゆく日本古来の文化の担い手育成に努めた。2015年6月13日、肺炎のため死去。86歳。