アカセガワ・ゲンペイ。美術家、作家。
1937年3月27日、神奈川県生まれ。本名、赤瀬川克彦。兄は直木賞作家の赤瀬川隼。武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)中退後、50年代末から無審査の美術展などに絵画などを出品し、前衛芸術家として活躍し始める。60年に荒川修作ら同世代の美術家と前衛美術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザー」を結成し、制作したオブジェを街頭で破壊するなどの反芸術的な活動を実践。63年に高松次郎、中西夏之と結成したグループ「ハイレッド・センター」の活動では、白衣姿で銀座の路上を清掃するパフォーマンスや、扇風機などさまざまな物を梱包した立体作品が注目を集めた。65年には、千円札の表面を印刷した作品が通貨模造にあたるとして起訴され、67年に有罪判決を受ける。「芸術か、犯罪か」をめぐって争われたこの裁判は、芸術裁判、千円札裁判として話題になった。その後、美術活動やイラスト執筆を続けるとともに、尾辻克彦のペンネームで小説の執筆活動も始め、79年に「肌ざわり」(中央公論社刊)で作家デビュー。81年には短編小説「父が消えた」で第84回芥川賞を受賞する。赤瀬川原平名義でもエッセーなどを発表し、老いていくことを肯定的にとらえた98年の著作「老人力」(筑摩書房刊)はベストセラーになった。また、街中にある無意味な建造物等を「超芸術トマソン」と名づけ、それらを観察する路上観察学会をイラストレーターの南伸坊らと結成するなど、数々のユニークな活動でも知られる。2014年10月26日に敗血症のため死去。77歳。