ウンベルト・エーコ。作家、哲学者。
1932年1月5日、イタリアのピエモンテ州アレッサンドリア生まれ。トリノ大学で美学、中世哲学を専攻。卒業後、テレビ局、出版社での勤務を経て、フィレンツェ大学助教授、ボローニャ大学教授などを歴任。記号論学者、中世研究者、文芸評論家など、幅広い分野で世界的に名を馳せる。80年、14世紀イタリアの修道院で起こる連続殺人事件を描いたミステリー小説「薔薇の名前」を発表。日本では90年に東京創元社から翻訳版が刊行されたほか、各国で翻訳されてベストセラーとなり、小説家としても名声を得る。同作は、81年にイタリア文学最高賞のストレーガ賞、82年にフランスの文学賞の一つであるメディシス賞を受賞。86年には、ショーン・コネリー主演で映画化された。週刊誌「レスプレッソ」では連載エッセーを執筆し、人気を博した。邦訳されたその他の主な作品に、「フーコーの振り子」(93年、文藝春秋)、「前日島」(99年、文藝春秋)、「バウドリーノ」(2010年、岩波書店)などの小説、「記号論」(1980年、岩波書店)、「開かれた作品」(84年、青土社)、「カントとカモノハシ」(2003年、岩波書店)などの学術書がある。がんのため療養中だったが、16年2月19日死去。84歳。