ツルミ・シュンスケ。哲学者、評論家。
1922年6月25日、東京都生まれ。父は政治家の鶴見祐輔、母方の祖父は政治家の後藤新平。39年にアメリカのハーバード大学哲学科に入学。42年に無政府主義者の容疑で逮捕されるが、同年に同大学を卒業し、帰国する。46年には、姉の鶴見和子、丸山真男、都留重人らと雑誌「思想の科学」を創刊。プラグマティズムなどの欧米思想を紹介するとともに、「共同研究 転向」を発表して戦前戦後の思想の変容を検証。幅広い批評活動を通して日本の言論・思想界をリードしてきた。49年に京都大学人文科学研究所助教授、54年に東京工業大学助教授となるが、60年に日米安全保障条約強行採決に反対して辞職。翌61年に同志社大学教授となるが、70年に大学紛争への警官隊導入に反対して辞職した。65年には、小田実、開高健らとベトナム戦争に反対する「ベ平連」(「ベトナムに平和を!市民連合」)を結成し、平和活動を展開。その後も、湾岸戦争やイラク戦争、自衛隊の海外派遣などに対して批判的な言論を続け、2004年には大江健三郎、梅原猛らとともに憲法擁護を訴える「九条の会」の設立呼びかけ人の一人となるなど、積極的な活動を行ってきた。主な著書に、「限界芸術論」(1967年、勁草書房)、「柳宗悦」(76年、平凡社)、大仏次郎賞を受賞した「戦時期日本の精神史」(82年、岩波書店)などがある。2015年7月20日、肺炎のため死去。93歳。