ツシマ・ユウコ。作家。
1947年3月30日、東京都生まれ。本名、津島里子。父は、作家の太宰治。白百合女子大学在学中から、同人誌「文芸首都」に参加。同学年で、同誌に参加していた中上健次とともに注目を集める。69年、「レクイエム」で文壇デビュー。71年に「謝肉祭」(河出書房新社)を出版。72年には、「狐を孕む」(「文芸」72年5月号)が第67回芥川賞候補となる。以後2回芥川賞候補となるが、父の太宰と同じく受賞は逃した。78年に「寵児(ちょうじ)」(河出書房新社)で第17回女流文学賞、79年に「光の領分」(講談社)で第1回野間文芸新人賞を受賞。98年には、母方の一族をモデルにした「火の山―山猿記」(講談社)で第34回谷崎潤一郎賞、第51回野間文芸賞をダブル受賞する。同作は、2006年放送のNHK連続テレビ小説「純情きらり」の原案になった。また、04年の「ナラ・レポート」(文藝春秋)では、第55回芸術選奨文部科学大臣賞、第15回紫式部文学賞に輝く。作品は各国語に翻訳され、高い評価を得ている。近年も、東日本大震災を受けて書いた「ヤマネコ・ドーム」(13年、講談社)を発表するなど、精力的な執筆活動を続けていた。16年2月18日、肺がんのため死去。68歳。