ナカムラ・ウタエモン。歌舞伎俳優。
江戸時代中期から続く歌舞伎の大名跡。屋号は、初代と3代目が「加賀屋」、2代目が「蛭子屋(えびすや)」、4代目以降は「成駒屋(なりこまや)」。加賀国出身で江戸中期の上方歌舞伎で頭角を現した初代から4代目までは成人男性を演じる立役の名前であり、2代目以外はいずれも、その時代を代表する名優とされる。1911年に襲名し、明治後期から昭和初期にかけて活躍した5代目と、その次男で51年に襲名し、戦後の歌舞伎界を代表する役者だった6代目は、2人とも若い女性を演じる女形の名優であったため、現在では、中村歌右衛門の名は女形として最高峰の名跡とされるようになった。6代目は、68年に人間国宝に認定され、79年には文化勲章も受章している。2013年9月には、5代目のひ孫にあたる9代目中村福助が14年春に7代目中村歌右衛門を襲名することが発表され、01年の6代目死去後、13年ぶりに名跡が復活することになった。