ワタナベ・ジュンイチ。作家。
1933年10月24日、北海道生まれ。札幌医科大学在学中に創作活動を始め、卒業後、同医科大の整形外科講師を務めながら小説を執筆。69年に、前年に学内で行われた和田寿郎教授による心臓移植を題材にした「小説心臓移植」(後に「白い宴」と改題)を発表し、話題となったが、学内の反発から辞職。上京して専業作家となった。70年に、「光と影」で第63回直木賞受賞。80年には、野口英世の生涯を描いた「遠き落日」と「長崎ロシア遊女館」で第14回吉川英治文学賞を受賞した。80年代から、医療小説のほかに男女の性愛をテーマにした小説を発表。97年には、中年男女の激しい不倫を描いた「失楽園」が260万部を超える大ベストセラーとなる。同作品は映画やテレビドラマ化されて一大ブームとなり、「失楽園」という言葉も、同年の新語・流行語大賞のグランプリに選ばれた。2003年に、紫綬褒章を受章。エッセーでもベストセラーが多く、07年に、「鈍感力」がミリオンセラーを記録。「鈍感力」という言葉は、流行語になった。他の作品に、小説では「ひとひらの雪」「愛の流刑地」「孤舟」「愛ふたたび」、エッセーでは「欲情の作法」などがある。14年4月30日、前立腺がんのため死去。80歳。