カトウ・タケシ。俳優。
1929年5月24日、東京都生まれ。幼少時より歌舞伎や映画に親しむ。51年に早稲田大学文学部を卒業後、中学校の英語教諭を経て52年に劇団「文学座」に入る。同年、「狐憑(こひょう)」で初舞台。59年に正式に座員になり、「美しきものの伝説」や「富島松五郎傳」などに出演した。74年に文学座を退座して、俳優の小沢昭一が主宰する劇団「芸能座」に参加したが、80年に復座。「女の一生」「殿様と私」など数多くの舞台に立ったほか、演出も手がけた。映画では黒沢明監督作の「悪い奴(やつ)ほどよく眠る」(60年)、「乱」(85年)、今村昌平監督作の「豚と軍艦」(61年)などに出演し、脇役として活躍。市川崑監督作の「犬神家の一族」(76年)など「金田一耕助」シリーズでは三枚目の警察官役を演じ、「よーし、わかった」のせりふが人気となった。ほかに、映画「仁義なき戦い」シリーズ、「釣りバカ日誌」シリーズや、NHK大河ドラマ「風林火山」など出演作多数。2014年には舞台「夏の盛りの蝉のように」で主役として葛飾北斎を演じ、第44回紀伊国屋演劇賞個人賞、第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞したほか、長年の功績に対して同大賞芸術栄誉賞を贈られた。10年に文学座代表代行となり、15年5月に正式に代表に就任したが、同年7月31日にスポーツジムのサウナで倒れて死去。86歳。